3年目の3年後学期

10/1:寝る時間がおかしかったので、ほぼ徹夜状態で学校に向かう。

*Sec1. 一限目

 一限目のフランス語で、海外留学に行って帰ってきた同級生の女の子と2年ぶりの再会。僕もちょうど2年留年しているので、その点ブランクだけは彼女と同じ状況にある。僕は、夢の国に2年間留学していたとでも思えばいい。取る予定の講義もけっこうかぶってたので、前期のように、毎日一人寂しい思いをしなくても済みそうだ。「一緒にがんばろうや」ってことで彼女とは一旦別れた。


*Sec2. 二限目前〜二限目

 二限目が始まる前に、夏休み中借りていた本を3冊返してきた。次は学生課に向かい、前期の成績確認と、もろもろの資料を取りに行く。

 学生課のパソコンに、学生証のバーコードを読み取らせ、成績表をプリントアウトする。後ろ向きで、ゆっくりと紙がでてくる。おみくじを開くような心持ちで、ちょっとドキドキして紙を裏返す。それを見て僕は安心した。習得単位は合計で96。これは落としただろうと思っていた科目も、せめて可はあった。取ることを諦めて授業にすら出なかった科目を除けば、ほぼ制覇したと言える。必須科目もすべて押さえてあるので、100あれば4年にあがることができるから、今期は寝てても進級できそうだ。あとは来年、めいっぱい楽ができるように、今は卒業単位を揃えておくことに集中すればいい。

 二限目は、卒業に必要な単位を綿密に計算する傍ら、講義は適当に聞いてやり過ごした。今期はだいぶ暇がありそうだ。


*Sec3. 昼休み、生協と陰謀説

 昼休みは、昼食をとるため生協に向かう。10月1日、以前まであった食堂隣の喫茶店の代わりに、学生生協がオープンしたのだ。僕は、喫茶店でタバコを吸いながら、150円のホットドッグを食べながら、80円のコーヒーを飲みながら、友達とまったりするのが好きだっただけに、少し残念に思う。しばらく遊びに行ってなかった近所の空き地に、いつのまにか商業ビルが建ってしまっていたような、そんな寂しさをちょっと感じた。そこははたして、僕の新しい遊び場になってくれるんだろうか。

 その日はオープン記念ということもあってか、中は興味本位の学生達で溢れかえっていた。おにぎり、お菓子、飲み物、文房具類、本などが置いてある。一応、うちのキャンパスらしく、デザイン用具や、『広告』『Casa』『デザインの現場』『芸術新潮』など、いかにもな雑誌も置いてある。そしてなぜか、マガジンとサンデーまである。しかし、ジャンプやチャンピオンはない。

 何故サンデーとマガジンなのだろう。何かの意図を感じずにはいられない。見るたびに不思議なセレクトに、僕は疑問符を打ちながら、本棚を隅々まで眺めていると、左から、「あんまり読みたい本ないでしょう。よかったらリクエストしてね。」と、売店のおばちゃんが声をかけてきた。おばちゃんは、持っていた雑誌のリクエスト用紙の束から、一枚を手にとって僕に渡す。僕は、「オレ好みの女(売店)に育てやるぜ」と、エロ小説でよく聞くようなセリフを、言いはしないが、ふと頭に思い浮かべた。まずはヤンマガヤンジャン、スピリッツ、モーニングからだろう。これは、遊び場を奪われた子供の復讐なのだ。

 中でも特に目を引いたのは“九州大学グッズ”。そうだ、そういえばウチの大学は九大と統合してしまったんだなと、改めてここで思い出す。それはいいとして、九大グッズは見てると笑える。九大Tシャツ、九大ノート、九大エンピツ、九大レポート用紙に九大ファイル綴じ。何から何まで、見渡す限りに広がる九大一面の野原。各々の顔に個性はない。同じように九大マークが刻印されているだけだ。誰が好んでこんなものを買うのだろうか。激しく疑問だ。

 九大、九大、九大、九大……ミニマルミュージックのように、反復される、それらの単調な視覚刺激のせいで、僕は少し眩暈がした。ああ、この手法で、九大と呼ばれる謎の組織は、これからじわじわと、僕ら芸工大生のアイデンティティを浸食してゆくに違いない。僕は被害妄想を膨らませる。


*Sec4. 3限目以降

 3限目もまたフランス語。金曜はこれで終わり…ってことに今日はしておいた。自由単位が、あともう少し足りないので、来週から4,5限は他学科の講義を取るかもしれないけど。とりあえず、今週はこれで終わり。