「RからBLAS/LAPACKを使う」ときのトラブル

C言語BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)の関数を使ったR用dllを作っているときにちょっとしたトラブルに見舞われた。対処法を見つけたので忘れないうちに書いておく。

RからBLAS/LAPACKを使う

上のページでとても親切に解説してあるので、BLASの関数を使ったR用のdll作成時には大変参考になった。しかし、BLASGotoBLASに入れ替えている(自前でコンパイルしたGotoBLASのdllをRblas.dllにリネームして使っている)場合に起きる問題がある*1

R CMD SHLIBでコンパイルしてdllを作成しても、プログラム実行時に「libgoto_*****.dllが見つかりません」といったエラーが出てしまうのだ。そんな名前のdllを使えとは言っていないはずなのに。変なエラーである。困った。

どうやらこの原因は、R CMD SHLIBでdllを作成する際に、リネーム済みのファイル名(Rblas.dll)でなく、ファイル内部に記録された元のファイル名(libgoto_*****.dll)を参照しているせいだと分かった。

なので、GotoBLASをコンパイルして最後にWindows用のdllを作成するコマンドを通常の"make dll"ではなく、

make dll -e LIBDLLNAME="Rblas.dll"

のようにして正真正銘のRblas.dllを作ってやればよい。できたRblas.dllをRのbinディレクトリに入れれば先の問題は解決する。

再度コンパイルするのが面倒だという人は、多少強引なやり方だが、リネームしただけのRblas.dllをバイナリエディタで開いて、"libgoto_*****.dll"という名前を検索し、それを"Rblas.dll"に書き換えてやってもいい。(もちろん余った部分はすべて0で置き換える)


これで、BLASの関数を使うdllをR CMD SHLIBで作成しても、これからはきちんとRblas.dllという名前を参照してくれるようになる。はず。

*1:GotoBLAS限定の問題というより、(私のように)半端な知識で純正でないRblas.dllをただリネームしてRで使っている人は皆突き当たるであろう問題

アルフォンヌ先生とヒゲゴジラ

最近見た夢のことを記しておきたいと思う。

ぼくは夢の中で何かのアクションゲームに興じているらしい(これは後になってわかることで、はじめはゲームの主人公がぼくである)。SF映画に出てくるスペースコロニーのような場所で脱出劇を繰り広げたり、ゾンビのような敵モンスターをハンマーでぶったたいたり、人のいないどこかの公園のような場所を彷徨ったり、地下道を探索したりする。もちろんゲームなので主人公(ぼく)は何度も途中で敵にやられて死んだりして、また直前のセーブポイントからやり直すこともある。何度もゲームオーバーを繰り返しながら、冒険を進めていくうちに、ぼくはあることに気付く。それはこんなシーンではじまる。

ぼくは白いモーターボートに乗ってどこかを目指している。するとむこうからこちらの乗っているボートと全く同じ見た目のボートが正面からやってくる。人は乗っていない。ぼくは衝突を避けようと右に旋回するも、むこうも左に旋回し、こちらの進路をふさぐ。右に旋回しても同じだ。まるでむこうのボートはこちらを鏡に映したかのように動き回る。ついに衝突が避けられない距離まで迫る。

とくに衝突音はなかった。互いの船首同士が触れた瞬間、ビデオを逆再生するように滑らかに、かつものすごい勢いで陸まで引き戻された。なぜか次の瞬間、ぼくの意識はヘリコプターに乗っている場面に切り替わる。しかし間もなくぼくの乗るヘリはビルに激突し、墜落する。ぼくは絶命する。薄れゆく意識の中、ふいにぼくはこう思った。

「あ、また死んだ。」

次にぼくが目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。静かな病室の中で、ぼくはいままで自分の身に起きたことを思い返し、ひとつの結論に至る。そう、ぼくは不死身なのだ。ゲームをプレイするぼくのことではない。ゲームの主人公としてのぼくが、その事実に気付くのだ。

すぐさま意識はゲームをプレイしている現実のぼくのシーンに移り変わる。いや、そのゲームをプレイしている自分を肩越しにうしろから見ているシーンといった方が正しい。こんなゲームやったことない。ゲームの主人公が自らの断片的な生をすべて同一的な「わたし」として認識するに至るゲームなんて前代未聞だ。ここにきてついにプレイヤーの意識とゲームの主人公の意識とが渾然一体となったのだ。と、やたら興奮しているようだった。

そこでぼくは目を覚ました。

イルコモンズ・リブートキャンプ

イルコモンズ・リブートキャンプ

というイベントに参加してきた@アートスペーステトラ

わたしは少し遅れて、22時からの参加となったのだけども、最初に見た小田マサノリ氏の作品には強烈な一撃を食らわされた。

http://illcomm.exblog.jp/2285801/

氏いわく、憲法9条は前衛的な詩であると。現実に即したものなら法律に任せればよい。憲法は理想を高らかに歌い上げるものでなければならない…実験の結果、実際そうなっていると現行の9条を評価しておりました。わたしはそれから数日間、ゴダールを見たり、プールに行ったりと、いろいろ考えを巡らせた結果、やはり彼の捉え方に賛同できるようになっていったのだった。

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まず、わたしの彼に対する第一印象は、ミュージシャン。間近に彼の話を聞いても実際そうだった。マス・メディアに聞かれぬ声(ノイズ)たちを素材に、彼の卓越した編集技術でもってわれわれに別の世界のあり方を提示する、まさしくノイズ・ミュージシャンなのだった。

恋の病は治せない 二日市温泉

やっさんと2日連続で遊んでみた。

一日目。

14時。天神のビックカメラで予約していたゲームを取りにいくついで、やっさんを呼び寄せる。

Biviの閑散っぷりに驚く。ACTUSしか見るところがない。

冷泉公園の隣に位置する冷泉荘を目指し、一行は中州川端へ。幼少期は冷泉公園でよく遊んでいたのでなじみの場所であったはずが、すっぽり忘れていたため、通りすがりの赤いワンピースを着たお姉さんに声を掛ける。

「あの、すみません。冷泉公園はどちらに行けばよいでしょうか?」
「あっち」

と一言だけのこして去ってゆく。服の色の割にクールな人だ。

お姉さんの指した「あっち」だけでは心許ないので、ここはその筋のプロ、タクシーの運転手のおっちゃんに再度道を尋ね、詳しく教えてもらう。

ひとまず冷泉荘のカフェに入り、喉も渇いたのでアイスコーヒーを頼む。奥の席に座る。隣ではデザインを勉強していると思われる女子学生3人が談笑している。アイスコーヒーはまるで麦茶のような味であったが、店のお姉さんがとてもかわいくておつりがくるくらい。

冷泉荘A棟をまわる。『昭和文学入門』とかいう怪しげな本を見つけて気になる。戸が閉まっている店は入りにくい雰囲気満載。

冷泉荘B棟をまわる。やっさんはデザイナーズ雑貨の店のお兄さんにやたらと気に入られてしまったご様子。

天神に戻り、鯖の味噌煮込み定食を食した後、いつもの爆音コーヒー店へ向かう。岩明均の『ヒストリエ』にハマる。明日は、「温泉に行きたい」、「近場がいい」という二つの条件を同時に満たす二日市温泉へ行くことに決定。23時を過ぎたところで帰路につく。バスがまだあってよかった。


二日目。

「いま西新にいる。」

という電話で目を覚ます。9時18分。

適当に支度を済ませ竹下駅へ向かい、10時2分の電車で乗り合わせる。

二日市駅に着き、ひとまず近くの商店街を散策。たのしぃ。

温泉街が近づいてくると、さび付いたボイラーが目に付く。さび付いたボイラーはどうしてかノスタルジックな気分にさせてくれる。このあたりは鳥居町といって、古びた家屋ではさまれた細い路地の先に、白い鳥居が見える場所がある。どうやら明治に建てられた石の鳥居で、石工なんとか為兵衛とか、現代で言うところの協賛の欄には、糀屋とか古風な名前などが刻まれている。

温泉街に入り、目的地の御前湯に近づく。紫色の観光案内看板が各所にある。このあたりは「湯町」というすてきな地名がついていることを知る。いくつかの温泉宿のベランダにオレンジ色のタオルが干してあるのが見える。思ってみれば、どうして温泉のタオルはオレンジ色なのだろうか。どこかの宿の2階から、長唄のような音楽が漏れ聞こえてくる。

御前湯に到着。入浴料は200円。さっそく脱衣所へ入ると、いきなり入れ墨のおっさんの生着替えに出くわす。御前湯は「入れ墨お断り」ではないらしい。いいことだ。しばらく湯につかって立ちくらみを味わった後、外でぼーっと涼むのが気持ちが良い。コーヒー牛乳でしめる。

昼食をとりに駅の近くに戻る。小林カレーは気にはなったが、カレーの気分ではなかった。おいしいと評判の暖暮とかいうラーメン屋を目指しもたが、スナックの乱立する小道の途中、気になる寿司屋を発見してしまい、寿司定食A(茶碗蒸し付き)を食することに決定。

13時20分。店に入ると、驚いたような顔で「いらっしゃい」と言って、大将が迎えてくれる。他に客はいない。寿司定食Aを二人前頼む。大将はアタック25を見つつ、寿司をにぎりつつ、回答者の間違いや、パネルの位置取りにひとつひとつ文句をつけている。我々二人は無言である。しばらくして店の看板を仕舞いに外へ出ていく。ランチタイムが終わったのに、看板を出しっぱなしにしてしまっていたのかもしれない。なにやら誰か知り合いに向かって大声で「もうすぐ出ないかん」とか言っているのが聞こえる。中に戻ってきて、今度は我々のカウンター席すぐ後ろの座敷席で生着替えを始める。割烹着を脱いでトランクス一枚のあられもない姿。スラックスに履きかえているのがみえた。このあたりから大将は急にそわそわし出して、食事中の我々の隣でマイルドセブンを吸い始める。我々の顔と腕時計を交互に見ているのが横目にわかる。ついに私はその場の空気にたまりかねて、
「これからおでかけですか?」と聞いてみると、
「はい、そうですね。」と大将は苦笑いしながら答える。
「じゃあ、急いだほうがいいですね。」と客ながら気を遣うと
「いいえ、14時からなので大丈夫です。」

と、見事な接客。13時50分の出来事であった。

「ごちそうさまでした。」
「なんだか急がせてしまったみたいですみません。」
「いえいえ。おいしかったです。ごちそうさまです。」

笑顔で店を出る。

いえいえ。おいしい話のネタをいただきました。ごちそうさまです。

午前中から遊ぶと一日が長い。それからも色々とあったようななかったような感じだが、ここに書き記すほどのことはない。

そして今に至るが、いまだ恋の病は治っていない。

ペスカトーレ

ちかごろはパスタを週に一度は作る。主にトマトソースのパスタだ。たまに気分を変えて和風やオイル系のパスタも作るが8割方はトマトソースのパスタだ。

大さじ2杯ほどのオリーブオイルに、包丁の背でつぶしたニンニク一片と種を取っておいた鷹の爪を加え、弱火でじっくり、ニンニクの香りをオリーブオイルへ移す。ニンニクが軽く色づいたら鷹の爪と一緒に取り出す。強火にしてさっとエビや貝に火を通す。ここで白ワインを加えるが、なければ料理酒で代用してもよい。火が通ったら中火にし、あらかじめ作っておいたトマトソースにあえて、塩、こしょうを振って味を整える。そこへアルデンテに茹でたパスタを絡め、好みでパセリなどを添えてできあがり。

料理は他にこれといって作れるものがあるわけではないが、なんとなくトマトソースのパスタだけは極めてみたいと思っており、わたしは毎週パスタ作りを継続している。誰のためでもない。


と、以上はあまり本題と関連はない。

これまでにパスタを作ってきて得た2つの教訓。それを今日の本題にしたい。

  1. 鷹の爪をあつかった手で目をこすったり、鼻の穴、陰部など敏感な部位をいじってはいけない。
  2. タマネギをみじん切りにすると、爪の間にタマネギの匂いが残り、これがしばらく消えない。そしてついつい何度も嗅いでしまうので注意。


bgm : bach, j.s. - goldberg variations bwv 988

circle'07

行ってきた。海の中道。日に焼けた。
http://www.shoka-fes.com
カヒミ・カリィのサポートに大友良英とジムオルーク。

一体なにごと。流血沙汰か。

正直カヒミ嬢がステージに上がるまで彼女自身にたいした興味はなかった(というより事前にスタッフ資料を盗み見して得た情報から、ジムと大友さんがサポートをやるらしいと聞いてカヒミ嬢どころではなかった)のだけども、その有無を言わせない造形的美しさ、そして「大根を薄く切りすぎて失敗したみたいな月」というしなやかな言語センスにやられたかはわからないが、終始わたしの視覚担当は彼女一点、カヒミ一輪挿しであった。

聴覚担当のほうは……言葉をひねりだそうと20分ほど唸ってみたが出てこない。とにかくいまも残るのは、夜の湖畔おもむろに自身の頭蓋の内容物を取り出し水にさらしたような──と表現すればよいだろうか、なんともいえない清涼感と恍惚のみである。

彼らに今日のチケット代の4000/7800を割り当ててもいい。期待していたユリイカはやってくれなかったのだけど。

新発見

垂れてきた鼻水をティッシュでかんでしまわず、指でつまんでぐいっと下に引っ張ってみよう。

するとどうだろう。

自身の頭蓋の内容物がずるずると引きずり出されているような──と表現すればよいだろうか、なんともいえないエキセントリックな感触が味わえるのだ。

これを見た皆は、是非一度実践してみてほしい。