アルフォンヌ先生とヒゲゴジラ

最近見た夢のことを記しておきたいと思う。

ぼくは夢の中で何かのアクションゲームに興じているらしい(これは後になってわかることで、はじめはゲームの主人公がぼくである)。SF映画に出てくるスペースコロニーのような場所で脱出劇を繰り広げたり、ゾンビのような敵モンスターをハンマーでぶったたいたり、人のいないどこかの公園のような場所を彷徨ったり、地下道を探索したりする。もちろんゲームなので主人公(ぼく)は何度も途中で敵にやられて死んだりして、また直前のセーブポイントからやり直すこともある。何度もゲームオーバーを繰り返しながら、冒険を進めていくうちに、ぼくはあることに気付く。それはこんなシーンではじまる。

ぼくは白いモーターボートに乗ってどこかを目指している。するとむこうからこちらの乗っているボートと全く同じ見た目のボートが正面からやってくる。人は乗っていない。ぼくは衝突を避けようと右に旋回するも、むこうも左に旋回し、こちらの進路をふさぐ。右に旋回しても同じだ。まるでむこうのボートはこちらを鏡に映したかのように動き回る。ついに衝突が避けられない距離まで迫る。

とくに衝突音はなかった。互いの船首同士が触れた瞬間、ビデオを逆再生するように滑らかに、かつものすごい勢いで陸まで引き戻された。なぜか次の瞬間、ぼくの意識はヘリコプターに乗っている場面に切り替わる。しかし間もなくぼくの乗るヘリはビルに激突し、墜落する。ぼくは絶命する。薄れゆく意識の中、ふいにぼくはこう思った。

「あ、また死んだ。」

次にぼくが目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。静かな病室の中で、ぼくはいままで自分の身に起きたことを思い返し、ひとつの結論に至る。そう、ぼくは不死身なのだ。ゲームをプレイするぼくのことではない。ゲームの主人公としてのぼくが、その事実に気付くのだ。

すぐさま意識はゲームをプレイしている現実のぼくのシーンに移り変わる。いや、そのゲームをプレイしている自分を肩越しにうしろから見ているシーンといった方が正しい。こんなゲームやったことない。ゲームの主人公が自らの断片的な生をすべて同一的な「わたし」として認識するに至るゲームなんて前代未聞だ。ここにきてついにプレイヤーの意識とゲームの主人公の意識とが渾然一体となったのだ。と、やたら興奮しているようだった。

そこでぼくは目を覚ました。