斜陽

いまさらながら、太宰治の『斜陽』も読んでみた。

 弟の直治が書いた夕顔日誌のブラックっぷりには笑えた。貴族のアイデンティティを頑なに否定しながら生きてきた彼も、「姉さん。僕は、貴族です。」と遺書の最後に書き残していた。快楽のインポテンツを患う彼が貪り求めたドラッグの酩酊感。ああ、分かるなあ、分かるなあ、それ分かるよ直治!って言いたい。激しく同意しまくり。うーん、どうやら僕は直治ファンだな…。

 姉のかず子の言葉も強烈だった。
「人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。」
「この世の中に、戦争だの平和だの貿易だの組合だの政治だのがあるのは、なんのためだか、このごろ私にもわかって来ました。あなたは、ご存じないでしょう。だから、いつまでも不幸なのですわ。それはね、教えてあげますわ、女が良い子を生むためです。」

 お母様の可憐な一挙手一投足がありありと目に浮かぶ文章も卓越。しかしやはり、太宰作品にとって「気品」は重要なキーワードなんだろうか。

 読んだ本の内容を忘れてしまうことほど悲しいことはないので、レビューついでに、他に読了した一冊分の読書メモを残してみた。斜陽のレビューを書く勇気も器量もないので、軽い感想文程度にここに。