四暗刻物語

昨年の11月末くらいからロン2っていうインターネット麻雀ゲームにハマってて、有料*1の会員登録までしちゃったというのは、あまり周りの人達には知られていないここだけの話。というわけで、いまから過去に遡って去年の話を書きます。たまには勢いだけで書いてみます。麻雀の分からない人には分からない内容ですのでそこはご了承を。


この時期はえらく負けが込み、連戦連敗。レーティング1500半ばから一気に急降下。一時はレーティング1200にまで落ちこんでいた。*2

2005年 12月21 (雨)


南3局、トップとの差は12000点ほど。ハネ満か、最低でも満貫は欲しいこの局面。そんなとき、配牌に筒子のホンイツ気配。いける。まずは筒子集めに専念だ。しばらくドラの白を抱え込むが、早々8巡目に見切る。リーチメンホン、だめならトイトイホンイツでも十分いける手格好が見えてきたことだし、目標点数からしても、白は手に余る危険牌。決意を固め、ドラ打…しばらく場を沈黙が支配する。鳴きは入らず。運がいい。


ここからぼくの筒子はタテに成長をはじめる。


「誰か…もう満貫でいいので…ひとつだけ…なにか鳴かせてください……」
メンホンチートイなのか、トイトイホンイツなのか、テンパイ付近でまどろむこの手にイライラとするうち、局は終盤にさしかかろうとしていた。

あ、と、ふと手元を見ればもうテンパイ。ほとんど無駄ヅモなし*3。そして、ここからが問題だ。

  • 5筒切りリーチ : 3-6筒、發待ち。3筒はありそうだが暗刻の筋。發ツモで倍満。
  • 6筒切りリーチ : 4-7筒待ち。高目イーペーコーをツモればハネ満に届く。

ここでひとつ気になるのが下家の4筒山越し。気にかかる…ていうか、4筒切りダマで、發出アガりなら倍満、ツモアガりなら役満じゃん!という思考のショートカット、いわば短絡的回路形成で、ぼくは決断する。

  • 4筒切りヤミテン : 發、5筒のシャボ待ち。ツモれば四暗刻役満。出アガりでも高目でメンホン、トイトイ、三暗刻、發で倍満。最安目の5筒出アガりハネ満でもトップ浮上確実。

少なくとも生牌の發は出る。絶対誰か出す。面前テンパイしたときすでに「満貫でもいい」という堅実さの衣は剥がれ落ち、欲望の沼に飲まれてしまっていた。そう、人間は弱い生き物だ。そんなわけで、ぼくは夢の四暗刻にbetした…とはいえ、実はここ2〜3日の間で、全く同じようなツモり四暗刻ホンイツ系の手を3回ほどテンパイするも、すべてアガれずにいた。だからこれもそんなに期待しなかった。おみくじの大吉くらい期待しなかった。


「發出せっ…出せッ…!!」
それでも心は躍る。血流が勢いを増し体中を巡る音が耳の裏側にトクトクと聞こえる、てっぺんまで血がのぼる、呼吸が浅く早くなる、マウスを握る手が一気に汗ばみ、ふるえる。ゆれる。世界がゆれる。まわる。ネットでも、実際の雀荘でも、こんな状況はやはりシビれるもの。この焼け付くようなヒリヒリがあるから麻雀はやめられない。ポイズン!


といった矢先、

「あれ?下家の北、横…向いてる。」
こんな時に限って、いや、こんな時だからこそ、下家の野郎が迷惑千万イノセントリーチ!ここまできたらもちろんぼくは全ツッパ。一発目に六萬を引くが、これを即ツモ切り突破。次順、現物の1筒…リーチ現物の引きはいいが、これは少し前に落とした牌。持ってればメンチンにも成り得た手。選択ミスか…と1筒をツモ切った次の順、さらなる想定外。


オーパーツばりに謎の6筒4枚目をツモ。5筒切りならこれでアガれていた。不測の事態に一瞬呆然とするも、まあ、とりあえず、
「カ、カン!!」
ひとりモニターに向かって叫ぶ。さあて、来週のサザエさんは…

5筒!!!!!!!!

「ヌ…あ、ザラっと来たぜ!」
「ツモ!………リンシャン、ツモ、メンホン、四暗刻!!」

結果、片割れの發は全死に、その中掴んだ奇跡のラス牌、5筒。一方そのとき、下家の待ちは可哀相な6-9筒。カンドラが雀頭にモロノリだぜ!と束の間の喜びを与え、次の瞬間、死(ラス)へと誘う四暗刻で刺す。なんともサディスティックなアガりだ。見てみれば対面の親の必要面子もほぼこちらの手の内にある。まるで孫悟空を弄ぶ釈迦如来の心地だ。もはや麻雀世界遺産である。というわけで、この後そつなく、当然のごとくトップでこの半荘を終えたのであった。めでたし。

*1:月500円

*2:現在はなんとか会員登録時の1400あたりまで持ち直した

*3:暗い牌はツモ切り