どうやらぼくは結核かもしれない

少し肌寒い山の上で、背中に太陽を浴びながら、だんだん背中から奥まで温まってくるイメージが湧いてきた。森の匂いがする風も横から吹いてきた。一回深呼吸して、それから少し目を開けたら、向こうにはふもとの街が見える。高層ビルとか車が光に反射してキラキラしてる。それまでずっと目をつむってて、それで余計まぶしかったから。あいかわらずおしりはちくちくしてる。

「じゃあ、まず上着だけ脱いで。」
白衣のおじさんが言う。ぼくは無言で彼に従う。部屋の明かりが消える。ひかりの胞子が僕の肺をすり抜けていった。

地下への階段を下りた後、長く続く灰色の廊下を歩いていた。どうやらぼくは一周して元の場所に戻ってきてしまったようだ。もう一度診療所の看板を探す。すれ違う掃除のおばちゃん。すれ違う生気のないひとたち。

赤いジャケット、白いセーター、手書きの地図。ここは福岡県庁。
風が強い。来た道と帰る道。必ず違う道を通ってしまうのはなぜだろう。

「またあとで電話するね。」

知らない人。