Eigenface

「ひとごみの中を歩いていると、暗闇に飲み込まれてしまうのがこわくなって、僕は、他とは絶対に共有不可能な明かりを自分だけの中に探し出して、それが本当にあることを信じ込もうとしたのだけど、でもそこには、前よりもっと大きな暗闇が待ちかまえていることに気づいてしまったから、やっぱりもとの位置に戻って、被害の少ない最初の暗闇の方を受け入れようとするのだけど、大きい方に走りすぎたせいで、僕は大小ふたつの暗闇のはさみうちにあうんだ。」
「それはこわい夢をみたのね。」