ダメダシ/人類誕生

tnkysr2005-07-21

ダメダシ

「もっと具体的に。」
「ええ、よく言われます。」
「うん、別にこっちは一般論を知りたいわけじゃないんだからさ。君の話は抽象的すぎて、読み手に迫ってくるようなものがない。情景が浮かんでこない。後に何も残らない。文章が死んでる。そんなもの、国語辞典からランダムサンプリングした語句の羅列と大差ないよ。いってしまえば君の文章はホワイトノイズだ。」
「ピンクノイズの方がすきです。」
「つまり何を言いたいのかっていうと、君を知りたいんだ。」

思わず吸い込まれてしまうような文章を一度くらいは書いてみたいと思いつつ、数時間のうちに2つも日記をエントリーしてしまう日がな一日今日このごろ。僕が今本当に書かなければならないのは研究計画書の方であります。今回は、持論(独断論)の展開を避ければ避けるほどエントロピーが増大する自然法則が僕の内に成立するという、この実験結果もって、卒業論文提出の運びとなります。


人類誕生

それからベランダの事件。Y君の秘蔵っ子、ヒマワリの花が咲いたとかいうフィボナッチな話題ではない。ヒマワリ観察日記より、ここはヒマワリ間接日記の体裁をとる。
2ヶ月を経てついに開花したヒマワリの花──今日、まさにその花形役者の陰で、小さな命が芽吹いているのを見つけた。エアコンの排水パイプからしたたり落ちる、汚れた水で培養された黒カビのベッドの上に、7月20日正午、私はライトグリーンの産声を聞いたのだ。なぜだかこいつらにはとてつもないシンパシーを感じる。
思わずして産まれた生命、かたや、計画的に育まれた生命。我が研究室のベランダに突如誕生した、この対立構造の小宇宙はあまりにも、あまりにも喜劇的である。