バクダンを仕掛けた
昨日、近所でこんな事件があった。
きょう午後2時10分すぎ、福岡市中央区の西日本シティ銀行・薬院支店に、男の声で「銀行の横にジュラルミンの箱がある、2キロの爆弾が入っている、2000万円を用意しろ」と脅迫電話がありました。
丁寧語口調のニュース記事が、なんともむず痒い気分にさせてくれます。
ええ、実はわたくし、昨日は六本松キャンパスから自宅に帰る途中(おそらく13時ごろだったと思いますが)、モロにこの場所を原チャで横切ったんですよ。家に帰ってテレビつけたら、えらいことになっててビックリしました。脅迫電話が入ったのが14時10分ごろだったとすると、私がここを通った時刻は、その少し前になります。もしかしたら、犯人さんはそのとき、まだお取り込みの最中だったかもしれませんね。残念ながら、現場を押さえ損ねました。
・・・・・*1
道路閉鎖の直前にすり抜けたようで、大渋滞には巻き込まれずに済んだ。テレビの中に、爆弾を遠巻きに囲んで、野次馬たちがずらーっと並ぶ様が見える。ヘリからの中継だったので、エサにむらがる蟻の大群のような彼らを、ちょうど上空から見下ろす眺望、一言で言うなら、天上人的パースペクティブを僕は得る。ベジータにでもなったような気持ちで、「ふん、地球の愚民どもめ」と、僕はひとり画面に向かって呟いた。普段なら滅多にお目にかかれない、爆発物処理班*2の仕事ぶりが見ものだったようだ。
2キロの爆弾で2千万円の要求。ノミナルで1万円/g(キロ1千万)とは、ずいぶん高級なお肉がジュラルミンケースの中に入っていたらしい(実際のところ、爆弾ではなくブロックの破片だったようだが)。昨日、TOKIOがやっていた特番『あなたの一万円で何ができるか?』を思い出したもので、つい、いらぬ計算をしてしまった。しかし、こればっかりは不謹慎な“1万円”だ。*3
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バクダンって一体何だろう。僕はこの事件をメタフォリカルに受け止める。
それは何故?
──もちろん春樹のせい、言うまでもなく、今読んでる小説『海辺のカフカ』のせいだ。
でも、全く受講する予定もなく、開かれていることすら知らなかった遠方キャンパスの講義だったのに、「一緒に受けようよ」と、前日急遽友人に、半ば無理矢理誘われ、渋々行った講義初日の帰り…途端、この事件と僕との巡り合わせ。意味ある偶然、シンクロニシティ。もちろん僕はユングなんて信用しちゃいない。僕は僕なりの“偶然”に対する見解を持ち合わせている。
しかし、僕とこの事件とは、蜘蛛が世界に張り巡らせた言葉の網目をつたって、きっとどこか遠くの方で繋がっている…はずもなく、あるいは。あるいは僕を指して、人は「ミーハー」と呼ぶ。
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